僕の好きな枝物の一つ「雲竜柳」

どちらも同じ雲竜柳なんだけど、右のモノと左のモノとでは 決定的に違うところがある。
生産者が違うっていえばその通りなんだけど 出荷に至るまでの過程が違うと思う。
裏をとった訳じゃないから、僕の推測ですけど・・・・
クネクネと動きのある枝が売りの雲竜柳だけど、畑にいるときは沢山の葉がついている。
それをすべて「取って」から市場にやってくるんだけど、その「取って」の方法が違うんだとにらんでいる。
右の雲竜柳は 生産者の方が 手で直接扱いて葉を取った品物だと思う。
僕も一度その様子を見たことがあるけど、大変手間のかかる作業だった。
それに対して左の雲竜柳は きっとガスを使って葉を落としてきたものだと思う。
アウシュビッツじゃないけど、ガス室なんてちょっと怖い。
生意気な事を言うようだけど、僕が市場でみると その違いは ハッキリと分かってしまう。
そしてガス室帰りの柳は 大体すぐに ↓ のように枝先が傷んでくる、みんなある程度はなるんだけど、その違いが顕著だ。

最近は 手作業の柳が少なくなってきている(と、思っている)
だから、両方とも店にあるんですけどね・・・・
もちろん、作業の効率は生産者の方にとって大切だし、値段にも跳ね返ってくるものだとは思う。
でも・・・・・・でも、だ、結局分からないで仕入れてしまう花屋さんだって多いのだ、結果、ガスで葉落しをした柳の相場の方が安いかというと、必ずしもそうじゃないのだ。
これは 僕たちフローリストに責任が有ると思うし、市場の人達も勉強してもらいたいし、生産者の方達にも情報公開して欲しいと思う。
そしてその結果、生産者のお父ちゃん、お母ちゃんが手作業で葉をしごいている柳が、キチッと評価されて、 大量生産的な品物も それはそれで見合った相場でたくさん流通するようになって行くべきだと思う。
花の世界まで 効率や、そろばんづく ばっかりで埋め尽くされるなんてまっぴらだ。