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レンギョの思い出

納品に向かう道中の信号待ちの時に、僕の左頬を山吹色に照らす街路樹が有った。


レンギョウの花。


写真に撮ると実物の花の色とはちょっと違くて、なるべく近づくように画像ソフトで加工してみたんだけど、なかなか実物と同じにはならない。

もっともっと味の濃い黄色だった。


この仕事の修行中に華道の稽古を積んでいた頃、この「レンギョウ」を使った稽古が何度かあった。


恥ずかしながら僕は華道の稽古中、一度だけ涙を浮かべた事があって、その時の花材が、この「レンギョウ」だった。


専門的な話になるので、付いてきて頂けなくても仕方ないんだけど、

立ち活けの時にこのレンギョウの枝を「ためて」曲げていくのだけれど、枝の中が空洞になっているこのレンギョウの枝は、苦労してくろうしてやっとの思いでためている(曲げている)途中で容赦なくパキンッと折れたりした。


もうそれは作品を創っている身としては断末魔の叫びの様な音な訳で、何もかも未熟な若者だった僕はちゃぶ台返しをしたくなる様な、暴れたくなる様な瞬間であった。


他の人も居る稽古場で、台無しになった自分の作品を前に暴れることも出来ず歯を食いしばってジンワリ涙を浮かべた僕を見逃さなかった池坊流の師匠は

「稽古中に流す涙は作品の為の涙です」

ってそっと言ってくれたっけ。


たぶん、あの時 僕の技術は、ささやかとはいえ「ミシッ ミシッ」と音を立てて伸びたんだなと思っている。


いいおっさんになっても、あんな悔しい思いを続けていたら、まだ成長出来るのかなぁ、なんて思っていたら、信号はもう青に変わっていた

さぁ 前に進まなくちゃ。

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by garland1992 | 2019-04-11 22:30 | Comments(0)