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我蘭堂(ガーランド)バックヤードへようこそ!

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哀悼

自分の娘の遺影が飾られた祭壇に向かって 
喪主の章を付けた彼がお焼香する その背中は 
どう見ても ひとまわり小さく見えました

ふだん強気な彼が 顔を歪めて涙を流す姿は 
本当にギリギリッと胸が締め付けられるようでした


彼の長女が夭折した 

25歳だった。







15年くらい前に一度 その娘さんを連れて我蘭堂に来てくれたことがあったっけ。
お母さんにそっくりだなぁ って思ったのを覚えてます

〇ちゃんも僕も娘二人を持つ父親同士で、同世代の花屋経営者、
彼の親父さんの代から付き合いもあった。
そして彼は なによりも 僕が一番影響を受けたフラワーデザイナーです



僕らは「仲良し」ではないけど それはそれでいい距離感だと思っている
必要以上に頼られるのもその逆も嫌いだと思っているに違いない
実際二人で直接、仕事の段取りや デザイン等で意見をぶつけたことはほとんど無い

考えてみたら 二人で飲みに行ったことだって 数えるくらいしかない

それでも 

僕にとって彼は 数少ない同業者の親友だと思っている

彼がどう思っているかは知らないけどね。




そして 彼が 一年半もの間、娘さんの闘病を黙っていたのは 
彼の持つ強気な性分のせいだけでは無いように思う

なんとなく、なんとなくだけど 解る気がする

ひょっとして それは「願掛け」に近い感覚だったんじゃないかと思う

口外したら負けちゃいそうで 怖かったんじゃないかなと思う


武道家でもある彼の「強気」さはリアルではあるけど 
それは秘めたデリケートさを隠す鎧だと思っている

あんな花を活ける人間が デリケートでない筈がないもの



お通夜までの二晩、そんな彼に会うのがツラくて 迷ったあげくお通夜まで会わない事にした
会ったら泣かせるだけだから って そう思った


結果、会っても 会わなくても やっぱりどっちも自分は役立たずな感じがした


だから やっぱり ツラいけどお通夜だけでなく 告別式にも行くことにした
おんなじ役立たずなら 今度は会ってきた方が良いと思ったから






爽やかに晴れたこの日は
棺に入りきれないほどの花に囲まれたYちゃんとの お別れの日でした

それは 本人とご家族にとって さぞや苦しかったであろう闘病生活が終わった日でもあります

そう 考えたいです。

ご冥福をお祈りいたします

合掌。
by garland1992 | 2012-06-08 18:38 | Comments(0)