取引先である 市場のSちゃんが 今日付けで退社する
彼とは 我蘭堂オープン時からの付き合いだ。
何年前になるんだろう、その市場と他市場の合併が決まり いろいろなドタバタがあった
何人もの同僚が会社を去って行って
「そこに残る事」 それとも 「そこを出て行く事」 どちらが プライドを保つことなのか
市場の買参人である僕らには 本当のところは分からなかったけど Sちゃんは 残ることを選んだ。
それは 先代からの血縁だけが 理由じゃなかったと 僕は思っている。
それから 何年かの間は きっと その事への意地で 自分を奮い立たせてきたんだろうと思う。
途中 取締役になって 結婚をして 年齢だって 40代が見えてきて・・・・・
誰もが 「なんで今なんだ?」と・・・・・
思い当たることが 全然無いわけじゃないけど 遠慮なくグチをこぼし合う間柄だった訳ではないから 僕だって ビックリした。
2ヶ月くらい前だっただろうか いつも通り 市場に行くと Sちゃんが声を掛けてきて 少し話をして
ちょっとした 「違和感」を感じた日があった。
まぁ、なんていうか 「今朝は元気だなぁ」と・・・・
なぜか はっきり覚えている。
その後 会っても ずっと その日の感じのSちゃんだったもんだから その違和感を感じなくなっていったんだけど
まぁ、今となっては なんとでも言えるけど きっと あの日には 会社を辞めることを 決めていたんだろうなと 想う。
もしかしたら 辞表を出したあとだったのかな。
そして その選択が その朝 僕が感じた違和感の原因なら やっぱり 僕は 今度の決心に 賛成せずには居られないのだ。
もう充分 意地を見せたじゃん
もう 気がすんだじゃん って。
わがままに生きようと いうつもりはないけど
嫌なことを嫌だっていうのも 人間らしく生きる、人間くさく生きている 結果だと 僕は想う。
誰も 立派に生きている証拠なんてないもの。
そして 好きなことをするっていうことは けっこうシンドくて 勇気がいる事で
時に後悔する覚悟だって必要だったりするって
そう
想うのだ。