昨日の夜 お届けに伺ったお宅の玄関先で、七夕の笹飾りが 乾いた音を立てて揺れていた
なんだか懐かしいと思えるような風景である。
インターホンに向かって配達に来た旨を伝えると、ドタバタと音がして、その笹飾りに提げられた短冊の主であろう女の子が玄関のドアを開けてくれた。
「タナバタにお願い事したの?」と聞くと、自分の書いた短冊を一生懸命探してくれた。
間も無くその子のおばあちゃんが出て来てお届けものを済ませた。
その間も女の子は自分の短冊を探していた。
僕の目の高さにカワイイ願い事が書かれた短冊を見つけたので
「これかな?」と訊くとパァっと笑った。
高い場所だったから見つけられなかったんだね。
最近では無くなったけど、10年くらい前までは我蘭堂でも七夕の笹を沢山売っていた
幼稚園や保育園に顔を出した時も、この時期 七夕の短冊に書かれたお願い事を見るのが楽しみだった
よく探せば必ずと言って良いほど「おはなやさんになれますように」と書かれた短冊を見つける事が出来た
うちの娘たちが そう 書いたことは無かったけど、自分は子供が短冊に願うような仕事に就いているんだという事実が、答えの出ない日々の商売の鬱々とした気分を救ってくれたりした。
今年の我蘭堂は七夕の笹を全く仕入れなかった
市内でイチバンの高齢化の町である事も関係しているのかもしれないね。
あの女の子が あの時自分の短冊を見つけられなかったのは、自分より高い場所に掲げられていたからだ。
お願い事って言うのは高いところにあるものなのだ
背伸びして、
手を伸ばしても、
「やっぱまだムリ!」っていうのが
正しい短冊との距離なんだろうなと、
そうオモウのだ。
・